遺族年金~生計維持関係等の認定基準及び認定の取り扱いその①~

○生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて〔厚生年金保険法〕

(平成23年3月23日)

(年発0323第1号)

(日本年金機構理事長あて厚生労働省年金局長通知)

 生計維持・生計同一関係の認定基準及び認定の取扱いについては、「生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて」(昭和61年4月30日庁保険発第29号社会保険庁年金保険部国民年金課長・業務第一課長・業務第二課長連名通知)等により取り扱われてきたところであるが、今般、国民年金法等の一部を改正する法律(平成22年法律第27号。以下「障害年金加算改善法」という。)の施行に伴い、併せて関連通知の整理等を行うこととし、別添の「生計維持・生計同一関係等に係る認定基準及びその取扱いについて」(以下「認定基準」という。)により生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いを行うこととしたので遺憾のないよう取り扱われたい。

 なお、本通知の発出に伴い、「事実婚関係の認定について」(昭和55年5月16日庁保発第15号社会保険庁年金保険部長通知)、「事実婚関係の認定事務について」(昭和55年5月16日庁保険発第13号社会保険庁年金保険部厚生年金保険課長・国民年金課長・業務第一課長・業務第二課長連名通知)、「生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて」(昭和61年4月30日庁保険発第29号社会保険庁年金保険部国民年金課長・業務第一課長・業務第二課長連名通知)及び「生計維持関係等の認定基準の一部改正について」(平成6年11月9日庁文発第3235号社会保険庁運営部年金指導課長通知)を廃止することとしたので申し添える。

 

1 総論

(1) 生計維持認定対象者

次に掲げる者(以下「生計維持認定対象者」という。)に係る生計維持関係の認定については、2の生計維持関係等の認定日において、3の生計同一要件及び4の収入要件を満たす場合(⑦及び⑨にあっては、2の生計維持関係等の認定日において、3の生計同一要件を満たす場合。)に受給権者又は死亡した被保険者若しくは被保険者であった者と生計維持関係があるものと認定するものとする。

ただし、これにより生計維持関係の認定を行うことが実態と著しく懸け離れたものとなり、かつ、社会通念上妥当性を欠くこととなる場合には、この限りでない。

① 老齢基礎年金のいわゆる振替加算等の対象となる者

② 障害基礎年金(国民年金法等の一部を改正する法律(昭和60年法律第34号。以下「昭和60年改正法」という。)による改正前の国民年金法による障害年金を含む。)の加算額の対象となる子

③ 遺族基礎年金の受給権者

④ 昭和60年改正法による改正後の国民年金法による寡婦年金の受給権者

⑤ 老齢厚生年金の加給年金額の対象となる配偶者及び子

⑥ 障害厚生年金の加給年金額の対象となる配偶者

⑦ 昭和60年改正法による改正前の厚生年金保険法による障害年金の加給年金額の対象となる配偶者及び子

⑧ 遺族厚生年金(昭和60年改正法による改正後の厚生年金保険法による特例遺族年金を含む。)の受給権者

⑨ 昭和60年改正法による改正前の船員保険法による障害年金の加給年金額の対象となる配偶者及び子

(2) 生計同一認定対象者

次に掲げる者(以下「生計同一認定対象者」という。)に係る生計同一関係の認定については、2の生計維持関係等の認定日において、3の生計同一要件を満たす場合に受給権者又は死亡した被保険者若しくは被保険者であった者と生計同一関係があるものと認定するものとする。

ただし、これにより生計同一関係の認定を行うことが実態と著しく懸け離れたものとなり、かつ、社会通念上妥当性を欠くこととなる場合には、この限りでない。

① 遺族基礎年金の支給要件及び加算額の対象となる子

② 死亡一時金の支給対象者

③ 未支給年金及び未支給の保険給付の支給対象者

 

2 生計維持関係等の認定日

(1) 認定日の確認

生計維持認定対象者及び生計同一認定対象者に係る生計維持関係等の認定を行うに当たっては、次に掲げる生計維持関係等の認定を行う時点(以下「認定日」という。)を確認した上で、認定日において生計維持関係等の認定を行うものとする。

① 受給権発生日

② 老齢厚生年金に係る加給年金額の加算開始事由に該当した日

③ 老齢基礎年金に係る振替加算の加算開始事由に該当した日

④ 障害厚生年金及び障害基礎年金並びに障害年金の受給権発生後において、当該受給権者が次のいずれかに該当する者である場合にあっては、次に掲げる日

ア 障害年金加算改善法(以下「法」という。)施行日の前日において、加給年金額及び加算額の加算の対象となっていない配偶者及び子を有する場合にあっては、法施行日の前日(平成23年3月31日)

イ 法施行日以後において、新たに生計維持関係がある配偶者及び子を有するに至った場合にあっては、当該事実が発生した日(以下「事実発生日」という。)

ウ 法施行日以後において、加給年金額及び加算額の加算の対象となっていない子を有する場合にあっては、当該子が新たに障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態となった日(以下「現症日」という。)

エ 法施行日以後において、加給年金額及び加算額の加算の対象となっていない子を有し、受給権者の配偶者等に対して当該子に係る児童扶養手当が支給されている場合にあっては、児童扶養手当の額が決定、改定又は停止となった月の前月の末日、若しくは障害基礎年金又は障害年金の当該子に係る加算の届出日

(2) 確認の方法

これらの認定日の確認については、受給権者からの申出及び認定日の内容に応じ別表1の書類の提出を求め行うものとする。

 

3 生計同一に関する認定要件

(1) 認定の要件

生計維持認定対象者及び生計同一認定対象者に係る生計同一関係の認定に当たっては、次に該当する者は生計を同じくしていた者又は生計を同じくする者に該当するものとする。

  •  生計維持認定対象者及び生計同一認定対象者が配偶者又は子である場合

ア 住民票上同一世帯に属しているとき

イ 住民票上世帯を異にしているが、住所が住民票上同一であるとき

ウ 住所が住民票上異なっているが、次のいずれかに該当するとき

(ア) 現に起居を共にし、かつ、消費生活上の家計を一つにしていると認められるとき

(イ) 単身赴任、就学又は病気療養等の止むを得ない事情により住所が住民票上異なっているが、次のような事実が認められ、その事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにすると認められるとき

(ア) 生活費、療養費等の経済的な援助が行われていること

(イ) 定期的に音信、訪問が行われていること

② 生計維持認定対象者及び生計同一認定対象者が死亡した者の父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族である場合

ア 住民票上同一世帯に属しているとき

イ 住民票上世帯を異にしているが、住所が住民票上同一であるとき

ウ 住所が住民票上異なっているが、次のいずれかに該当するとき

(ア) 現に起居を共にし、かつ、消費生活上の家計を一つにしていると認められるとき

(イ) 生活費、療養費等について生計の基盤となる経済的な援助が行われていると認められるとき

(2) 認定の方法

これ等の事実の認定については、受給権者から別表2の書類の提出を求め行うものとする。

 

4 収入に関する認定要件

(1) 認定の要件

① 生計維持認定対象者(障害厚生年金及び障害基礎年金並びに障害年金の生計維持認定対象者は除く。)に係る収入に関する認定に当たっては、次のいずれかに該当する者は、厚生労働大臣の定める金額(年額850万円)以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外の者に該当するものとする。

ア 前年の収入(前年の収入が確定しない場合にあっては、前々年の収入)が年額850万円未満であること。

イ 前年の所得(前年の所得が確定しない場合にあっては、前々年の所得)が年額655.5万円未満であること。

ウ 一時的な所得があるときは、これを除いた後、前記ア又はイに該当すること。

エ 前記のア、イ又はウに該当しないが、定年退職等の事情により近い将来(おおむね5年以内)収入が年額850万円未満又は所得が年額655.5万円未満となると認められること。

② 障害厚生年金及び障害基礎年金の生計維持認定対象者に係る収入に関する認定に当たっては、次のいずれかに該当する者は、厚生労働大臣の定める金額(年額850万円)以上の収入を有すると認められる者以外の者に該当するものとする。

ア 前年の収入(前年の収入が確定しない場合にあっては、前々年の収入)が年額850万円未満であること。

イ 前年の所得(前年の所得が確定しない場合にあっては、前々年の所得)が年額655.5万円未満であること。

ウ 一時的な所得があるときは、これを除いた後、前記ア又はイに該当すること。

エ 前記のア、イ又はウに該当しないが、定年退職等の事情により現に収入が年額850万円未満又は所得が年額655.5万円未満となると認められること。

(2) 認定の方法

これらの認定については、受給権者からの申出及び生計維持認定対象者の状況に応じ別表3の書類の提出を求め行うものとする。

以上、ご参考までに。その②に続く。

社会保険労務士・行政書士 新井

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