遺族年金~内縁の妻が請求する場合の高い壁~

◆内縁の妻による遺族年金請求

家族の方が亡くなった場合に請求できるのが遺族年金。

この遺族年金の請求権者には「配偶者」が当然含まれるのですが、この「配偶者」には、

①法律上の配偶者
②事実婚の配偶者

が含まれています。

したがって、籍は入れていないけれど長年事実婚状態であった場合には、内縁の夫や妻が亡くなった時、残された夫・妻は条件によって遺族年金の請求が可能となるのです。

それでは、内縁の夫・妻による遺族年金の請求はすんなりと行えるのでしょうか?

◆遺族年金請求で必要となる添付書類等

遺族年金請求に必要となる書類等は、請求書の他、一般には以下の通りです。

①死亡診断書のコピー
②戸籍謄本・抄本(請求者・死亡者)
③住民票の除票(死亡者)
④住民票(請求者・世帯全員分)
⑤所得証明(請求者)
⑥年金手帳・年金証書
⑦通帳
⑧(生計同一等申立書)

◆内縁の妻は、上記の資料を集められるのか。

遺族年金の請求をする場合、上記の資料を集める必要があります。

では、内縁の妻はすんなりと上記の資料を手に入れることができるでしょうか。

①死亡診断書のコピー

葬儀の喪主になったり、死亡届を提出するなどを行っていたのであれば、それら手続きの中で死亡診断書は手に入れられることができます。

しかし、葬儀を前妻の子が行った場合など、事情によっては死亡診断書を手に入れられない場合もあります。後日市役所で請求するにも、果たして内縁の妻に交付してもらえるのでしょうか。

②戸籍謄本・抄本(死亡者)

同様に、亡くなった夫の戸籍を請求する場合も困難を伴うことが多いかもしれません。市役所の対応如何によります。

③住民票の除票(死亡者)

住民票の除票についても同様です。
市役所によっては、たとえ住所が同じでも世帯が別になっている場合には住民票の除票を交付できないところもあります。

◆資料収集の困難性、内縁関係の証明

年金法上「配偶者」には事実婚の夫・妻が含まれるにもかかわらず、遺族年金請求の手続きにあたって必要な資料を集める段階で大きな壁が立ちはだかります。

もう一つの壁としては、内縁関係の証明でしょうか。

年金相談をしていて最近特にひっかかるのは、資料収集段階での壁です。
これでは、せっかく内縁の妻にも遺族年金の請求が認められるとした意味が半減してしまうような気がしてなりません。

あらい年金相談室
社会保険労務士 新井英孝

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